石川県能登半島の先っぽ辺りに、九十九(つくも)湾という日本百景の海があります。エメラルドグリーンで抜群の透明度を誇る海と思わずタメ息が出るような美しい景観、そして時間が止まったかのような静けさは必見の価値ですよ。
そんな九十九湾の半島の中にあるのが『百楽荘 能登九十九湾』なんですね。
(能登半島といえば輪島が有名ですが、九十九湾はその反対側になります)
こんな人におすすめ
- 特別感のある宿に泊まりたい
- 静かな環境ですごしたい
- 細やかなサービスを受けたい
- 浴衣のまま釣りがしたい
- 絶景を楽しみたい
そんな百楽荘の魅力や館内での快適な過ごし方などを紹介したいと思います。
>>参考:百楽荘 能登九十九湾
※ホームページの真ん中にある[→ENTER]は詳細ページへの入口ですが、音楽が流れるのでご注意ください。
なかなか予約が取れない
気に入った宿にはリピートする人間なので、これまで何度も行こうと思い予約を試みましたが、土日祝しか行ける日がないので思い立った時にはすでに満室だったり、なかなか予約できなかったんですね。
今回は7ヶ月前にじゃらんから予約しましたが、直後に満室となっていて、まさに滑り込みぎりぎりセーフ。
京都から車でも電車でも5時間以上!
関西からのアクセスは 名神 → 北陸道 → のと里山海道 と、高速道路と自動車道をひたすら走って最速で4時間56分かかります。
ノンストップ休憩なしの計算なので、2時間毎に休憩を挟んだり途中で寄り道などしていると、もっと時間がかかります
ちなみに金沢からだと車で2時間。
『能登空港』からは車で30分ほどなので、お住まいの場所によっては飛行機&レンタカーがいいかもしれませんね。
電車の最寄り駅は『のと鉄道』の穴水(あなみず)ですが、そこからバスで1時間かかります。
とにかく遠いです。
だからこそ余計に行きたくなるし、訪れた時の感動も大きいのかもしれません。
入口も見落としそうな隠れ家宿
周辺に案内は出ているのですが、入口である門がとにかくわかりにくいです。
最初に訪れた時は見落として通り過ぎました。
(今回はちゃんとわかりました)
「この先にほんとに宿があるの?」
と思わず心配になりますが、この何が待ち受けてるかわからない感じもまた魅力の一つかもしれません。
門から宿までは短いけど狭い山道なので、運転は気を付けてください。
百楽荘のある場所もすでに九十九湾の一部なので、突き出た半島丸ごと利用した宿になっています。木々に覆われ外からはなかなか存在を確認できないため、まさに隠れ家!
日本百景『九十九湾』独占の最高すぎるロケーション
百楽荘がなぜ人気なのか、そのひとつはこれです。リアス式の九十九湾のさらに奥まったところにあるため、湾の様子を宿のいろんな場所から眺められるんですね。
波も穏やかを通り越してほぼ 無 です。
波ができるのは漁船が通る時くらいなので、見る場所によっては海なのに池にしか見えません。
そして周辺地域は車の通りも少ないため、音もなく大昔にタイムスリップしたかのような静けさです。
なかなか行けない遠さなら、ぜひスイートに泊まろう

最初に利用したリニューアル前の一般客室でも十分素晴らしかったですが、スイートにはとにかく感動しました。
今回泊まったのは露天風呂の代わりに広いベランダ(とハンモック)がある「宝珠」という角部屋です。
>>参考:百楽荘スイート
窓が大きくとってあり、どこからも九十九湾が一望でき、それぞれ違う景色を楽しめます。
宿泊する人数や好みによっては和室に布団をひいてくれますが、今回はベッドで寝ました。
この宝珠の部屋はベッド側の窓が東向きなので、カーテンをしっかり閉めておかないと天候によっては朝日がかなり眩しいと思います。
テレビが3台(和室、リビング、ベッドルーム)ありますが、滞在中は一度も点けませんでした。
お風呂はなくシャワールームのみなので、そこが気になるか気にならないかは価値観が別れるのかなと。
うちの家族はみんな気にしませんが。
次に行く機会があれば、露天風呂付きの部屋も利用してみたいです。
記念日プランを利用するとシャンパンとケーキを用意してもらえたり。※フルーツはサービス
スイートは専用ラウンジも楽しめる
スイートタイプ宿泊客には専用のラウンジがあります。
カフェ、カクテル、モーニングの3つの時間帯別で区切られ、それぞれの時間帯に合わせた飲み物や軽食が用意されています。
宿泊代に含まれているためもちろん全てフリーです。
ラテやエスプレッソなど4種類が選べるコーヒーメーカーがあり冷凍庫には常時アイスキャンディーが入ってます。

夕方からのカクテルタイムにはウィスキーやリキュールと一緒に炭酸水等も置いてあり、カクテルやハイボールも自由に作れました。生ビールサーバーやワインも用意されています。


軽食とおつまみもあります。
調子に乗って夕食前に生ビール2杯飲みました(笑)
モーニングはスムージーやヨーグルトなど。
飲み物などを提供してくれるのは時間が限られていますが、ラウンジそのものは滞在中ずっと利用できます。
取材を兼ね全ての時間帯に利用しましたが、あまり人がいなくてほぼ貸切状態でした。
スイートタイプは客室にもコーヒーメーカーやドリンクが用意されていますが、せっかくなので利用するのもいいかなと。
まるでパワースポットのような洞窟風呂
百楽荘といえばこの洞窟風呂が有名なのですが、むかし石工のおじいさんが3年かけて手作業で彫ったものだそうです。
想像するだけで気が遠くなりそう…すごい情熱ですよね。おじいさんの“魂”がこもった洞窟は、いるだけでパワーもらえそうです。
浴槽はライトアップされ幻想的な雰囲気が楽しめます。
洞窟風呂からそのまま行ける露天風呂には、3つほど壺湯が置いてあります。
眼下の九十九湾は夜にはライトアップされとても幻想的です。水中のライトに大きな魚(たぶんスズキ)が集まっているのを壺湯に入りながら眺めることもできます。
ただ、露天風呂の向こうは断崖絶壁で柵もざっくりしたものです。
九十九湾は百楽荘周辺で水深10m以上あるそうなので、落ちると大変危険です。
小さいお子さんは一人歩きさせないように注意してください!
床や洗い場や浴槽など、たいていタイルが使用されていそうな箇所は全て大谷石(おおやいし)が敷き詰められています。
>>参考:山南石材店
大谷石は、吸湿や防臭防カビなどの効果の高いゼオライトという成分を含んでいるので、浴室に使用されるのはとても理に適っているわけですね。
脱衣所はカゴのみでロッカーはありません。
貴重品用の小さいロッカーだけあります。
おむつ用ゴミ箱も完備されてました。
大浴場はここ含め2か所あり、時間によって男女入れ替りになっています。
公式サイトにもあるように、温泉ではなく能登の海洋深層水を沸かしているので、肌に優しく温泉じゃなくてもすべすべでしっとりします。
家族風呂は景色も貸切!?
ほぼ西の方角を向いているので、利用するなら夕日を見ながら入れる時間帯がおすすめ。
すぐ真下が漁船の通り路なので、バルコニーに出る時は裸注意です。
利用時間は1組につき50分の予約制。
時間になったらフロントで鍵とタオルを受け取ってください。貸切風呂の中にはトイレがないので、先に済ませておくことをおすすめします。(貸切風呂に行く途中の階段下にあります)
サービスでフルーツとジューサーを用意してくれていました。
一緒に置いてあるナイフで半分に切り、こんなふうに押し付けると「ウィーン」と勝手に回って絞ってくれます。(コップで受けておくのを忘れずに)
趣向の凝った食事がとにかく美味しくて楽しい
会席なので次々料理が運ばれてきますが、前菜からデザートまでどれもこれも料理や器に遊び心が満載で、出てくるたびにわくわくさせられました。
10年目の結婚記念日ということもあり、“お祝いプラン”を利用したので夕食は通常より豪華でしたが、基本プランでもクオリティや遊び心は同じです。
動くのがつらくなるほどお腹いっぱいになりました。
朝食(和食)は海に面した座敷でいただきます。
すぐ横の海や釣り桟橋を眺めながら食事できるのがおすすめポイントです。
魚の骨をもらっているためか、必ず寄ってくるトビやカモメがいて、彼らを眺めるのも楽しかったです。小学生の娘は大喜びでした。
朝食にも仕かけや工夫が凝らされ、デザートまで楽しめます。
アメニティも細かい気配りが
あとこれは公式サイトには書かれていない情報ですが、40センチほどある大きな折り畳み式の置き鏡が用意されていました。
部屋の備品で私が一番感動したのは、他でもないこれですね。(そこ?)
女性にはとても重要なアイテムでして、部屋で座りながらメイクができるので大変ありがたいです。
色浴衣も自由に選べます。
150種類ほどあるので迷います。
“プライベート桟橋”で浴衣のまま釣りが楽しめる
竿などの釣りグッズは持ち込みもできます。わが家も持参してきました。
「従業員の方が常に待機…」のような口コミもありますが、接客や食事の用意など別の業務に対応されていることも多く、プールの監視員のようにずっと見てくれているわけではありませんでした。
安全管理は自己責任だと思って十分注意してください。
海の上なので夜は冷えます。季節によっては防寒対策万全で!
気になる釣果ですが、アオリイカを釣っている人もいましたが、うちのは小さいアジ数匹のみでした…
釣りのみの利用もできます
(11:30~14:30)
能登の百楽荘は気軽に行けてお得な宿ではありませんが、だからこそ価値があると私は考えています。
一般客室でもシーズンによっては大人2名で合計10万円前後です。でも、その値段に相応しい納得感があります。
人生で一度は訪れるべき最高の宿です。
(公式サイト内「百の楽しみ」もぜひ確認してみてください。)
ここまで読んでいただきありがとうございました。
写真/筆者提供