和歌山県南紀白浜の、ひときわ目を引くヨーロッパの“古城”のような建物が『ホテル川久(かわきゅう)』です。
客室は全室スイートでレストランや温泉などの施設も高級感があり、もちろん料理もサービスも宮殿のような外観に相応しいラグジュアリーな内容になっています。
でも、ホテル川久の凄さはそこではありません。
建築に国内外の有名な職人が関わっていたり、価値の高い美術品がふつうに飾られていたり、王室御用達の家具があちこち使われていたり、ただのホテルでは考えられないくらい豪華さがぶっ飛んでいるんですね。
その話題性はたびたびネットやテレビでも取り上げられるほどです。
2015年の秋に家族で泊まってきたのですが、とにかく全てに圧倒されました。それ以来「南紀白浜に行くなら『ホテル川久』に泊まってみてほしい」と、いろんな人におすすめしています。
宮殿みたいだけどなぜ普通に泊まれるのか、どんなホテルなのか、どれくらい“ぶっ飛んでる”のか、この記事を読めばきっとその理由がわかると思います。
まるで美術館!ホテルの中も外も貴重なものだらけ!
国内外の職人が手がけた匠の技の集合体といってもいいくらい、床のタイルから柱からシャンデリアに至るまで、博物館や美術館の展示でもおかしくないような物ばかりでした。
まさに“宮殿”ですね。
この美しい黄色の屋根瓦ですが、中国北京の紫禁城にも使われているもので「皇帝以外使用不可!」のところを当時のオーナーの人脈のおかげで許可が下りたそうです。
参考に本物の紫禁城がこちら。
※画像 Pixabay
こちらはロビーの天井です。
5cm四方の22.5金の金箔をフランスの職人が“手作業”で貼り付けたそうです。
差し込む太陽の光を反射して、ロビーを美しく照らす効果があるとか。
美しさと手間に気が遠くなりそう…
ロビーにある柱はカリスマ左官職人の久住章(くすみあきら)氏がドイツの「シュトックマルモ(石膏擬石技法)」という技術を用い、これまた手作業で作ったもので、1本1億円だそうです。ちなみに24本あります。
ロビーの柱だけで24億…
ラウンジの照明にはヴェネチアンガラスのシャンデリアが使われています。
ロビーの床はイタリアの職人学校の方たちによる「ローマンモザイク」の作品です。
>>参考:フリウリモザイク学校
同じくロビーの壁面には美術館に展示しててもおかしくないような「ビザンチンモザイク」が数点埋まっています。
メトロポリタンミュージアムの鑑定で2世紀のシリアで作られたものと判明したそうですが、どこで見つけてくるんでしょうね。
スタンウェイ&サンズ社特注のグランドピアノも置いてありました。
イタリアのクレモナ大聖堂にあるピアノを模してあり鍵盤は象牙だそうです。
>>参考:スタンウェイ&サンズ社
こちらは中国 清の時代の七宝焼きだそうです。私(身長155cm)の胸の高さくらいの大きさでした。
他にもいろいろありますのでサイトも是非チェックしてみてください。
>>ホテル川久公式サイト
宿泊費はどれくらい?
私が利用したのは一般の和洋室『カワキュウスイート』で、広さ90平米は前に住んでいたマンション(72平米)を上回る広さです。※2019年現在では『モダンジャパニーズスイート』としてリニューアルされています。
宿泊費は、大人2名 + 幼児1名で2食付42,000円でした。
画像を見るとごくごく一般的な和室に見えますが、実際のカワキュウスイートに泊まると部屋の構造と広さに圧倒されます。
当時撮影した部屋の様子を以下に紹介します。
部屋の“廊下”です。
突き当たりで靴を脱いであがると左に和室があります。(脱ぎ散らかしてますが)
向かって右にウォークスルークローゼット、左にツインのベッドルーム、トイレ、パウダールーム&バスルームになっています。
こちらはパウダールームで、奥にバスルーム。スキンケアのアメニティはドクターシーラボが用意されています。
ちなみに更にハイクラスの部屋に『プレジデンシャルSPAスイート』がありますが、お得なプランなら2食付約30,000円/人~で泊まることができます。
美術品に囲まれたゴージャスな建物なのに誰でも気軽に泊まれるのが、おすすめポイントのひとつです。
公式サイトのギャラリーもぜひ確認してみてください。
>>参考:ホテル川久 クラブステージ客室
内容豪華すぎ!“王様のバイキング”
レストランは和食と創作フレンチとバイキングの3種類があります。私は朝夕バイキングプランで予約していたのでバイキングを利用しました。
「“王様”なんていう大そうなネーミングだけど、だいたいのクオリティとか内容とか、わかってるから」
と、過去の経験を引っ張り出しあまり期待はしていなかったのですが、私の予想を裏切り種類も質も“王様”の名に恥じないレベルでした。
前菜の種類が豊富で最初に調子にのって取り過ぎてしまい、箸を付けられない料理もありました。
秋だったので松茸の土瓶蒸し。お出汁をコーヒーサイフォンで抽出していたのが印象的でした。(あいにく写真がありません…)
料理は季節に応じた食材や地元の特産をふんだんに使っていて、ウツボを使った郷土料理や、もちろん名物のクエもあります。
画像はタラバガニの炭火焼き。
他にもホタテ、伊勢エビ、アワビや車エビのお造り、十勝牛のステーキなどもあり、内容はとにかく盛りだくさん。
「1人1皿のみ」ではなく、メインディッシュも全て取り放題です。
食べきれなかったので写真にだけ納めました。またリベンジに行きたいです。
デザートのパフォーマンスもありました。
レストランだけの利用もでき18,000円~となっています。
王様のバイキング利用する時は当日のお昼ご飯を抜くくらいの気持ちでお腹を空かせていくことをおすすめします!
朝ごはんもバイキングです。
オムレツはアドベンチャーワールドにちなんでパンダのケチャップデコレーションをしてもらいました。
和歌山特産の釜揚げしらすやお造りをご飯に山盛りのせた海鮮丼を朝からいただくこともできます。
北海道の食材が多いのは、経営している『カラカミ観光』が北海道の会社だからなんですね。
>>参考:ホテル川久 王様のビュッフェ
日帰り利用もできるゴージャスな温泉
男女入れ替え制の大浴場があり、もちろん白浜温泉の源泉をひいてあります。
露天風呂は中庭のような庭園大浴場なのですが、広すぎて入口から端まで移動するのが大変でした。
2019年現在はリニューアルされ、絶景の内湯ロイヤルスパ等も増え更にゴージャスになっている模様。
とても気になります…
中でも私が目を奪われたのはシャワーヘッドの大きさです。(そこ?)私の顔くらいはありましたが、雨のようにふりそそぐ水圧が心地よく軽くて扱いやすかったです。
あと、内風呂の壁面にはこれまた有名な陶芸作家の仙人画や漢詩が描かれています。
美術品眺めながら入浴できるなんて贅沢すぎですよね。
日帰り利用もでき、タオル付で2,000円だそうです。
>>参考:ロイヤルスパ
バブル時代の遺産?なぜ普通に利用できるホテルになったのか?
ホテル川久のとんでもない豪華さは、バブル時代に建てられた超高級会員制ホテルだったからなんですね。
ネットの情報を整理するとこんな経緯のようです。
もともとは皇室御用達の格式ある旅館だった
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バブル景気突入で勢いついた二代目社長が超高級会員制ホテルとして改装
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こだわりすぎて総工費が予定の150億から300億円にふくらむ(400億円とも!)
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それでも回収できると踏んで売り出したけど予定を大幅に下回る20%しか売れず大コケ
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1991年バブル景気崩壊
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売却の採算が取れず赤字つづきで1993年に倒産
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北海道のカラカミ観光社が30億円で買収
「ヨーロッパの宮殿のような外観なのに名前なぜ和風…」と思ってましたが、なるほど元が格式ある旅館だったからそのまま引き継いだのかもしれませんね。
簡単にいうとあれですね、
お金かけ過ぎ!!!
普通に「超高級会員制ホテル」なんて、私みたいな庶民にはどう考えても一生縁のない世界です。それがバブルが崩壊したことで誰でも泊まれるホテルになったのかと思うと、大変感慨深いものがあります。
まさに夢の城、バブルが残した遺産だったわけですね。
とにかく一見の価値があるのは間違いないので、白浜温泉やアドベンチャーワールドへの旅行を計画されているなら『ホテル川久』をぜひ利用してみてください。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
写真:筆者提供